デザインエッセイ|梶谷修


軽さ 1590

Bag創りを始めた頃
何が大事な事かと思った。
それは“軽さ”ということだった。
形と素材が見事にバランスしているということ。
以来、皮革問屋からタンナー(皮革を作る工場)まで
軽い素材を探して日本中、世界へと旅をした。
頑丈な構造は重くなってしまう。
軽いものは壊れ易い傾向にある。
あれから三十数年、まだまだ旅の途中
軽くていい作品に近づけただろうか?





 


恋愛 1589

NO.1589は、NO.1588を
下敷きにして造られている。
NO.1588が発見されると同時に考えられ始めた。
造形作家とはそうしたものだ。
したがって丸5年間考え続けた
ことになる。
“ずーっと持っていたい”
“見染めたと同時に手から離したくない”
男女の仲にもこんな関係があるだろう。
そう、テーマは“恋をする程だ。”
物と心の間にも、そんな関係があっていい。






 


いい女 1716

俗にいい女がいいBagを
もっているとは限らない。
オシャレで控えめ、シンプル
流行に遅れない
外出のときなどよい相談相手
いつも手離せない。
結局、いいBagを持っているから
いい女と言えるのだ。





 


車掌さん 2079

豊洲に住み着いて
7〜8年になる。
水の見えるところで生活し
たかったからだ。
時々、銀座から都バスに乗って帰る。
東京人になった気がする。
昔の車掌のBagを思い出しながら、今と帰るデザイン。





 


ル・コラ 1767

自宅に8年間棲みついて
いる犬がいる。
ミニチュア・シュナウザーで、名前はル・コラだ。
小さい頃は目に入れても可愛い。
いつでも全身を使って“おかえり”をしてくれる。
このバッグは、ル・コラへの日頃の感謝の気持ちで造られた。
少々ズングリして大ぶりなのは、
8年後の彼がそんな体型だからだ。
そんな訳でBagの名前は
「ル・コラ」という。





 


純文学 3007

純文学と大衆小説
というジャンルがある。
ショッピングのすべてが大衆小説
とは限らない。
Bagにも純文学というジャンルがある。
それは人生の骨格を支えてくれる。
何故生きているのかを考え始めると立派な純文学派である。
どんな時でも、特に苦しい時程支えてくれる。

3007は皮革で造れば本格派になる。
人生の節目節目で思い出して頂けるようであれば、
立派な作品として完成したことになる。





 


絡繰り 1766

仕掛け、絡繰り
旧くは絡繰り人形、絡繰り箱など
現代のロボットに通じる
考えを日本人は持っていた。
私は時々そのコンセプト
をテーマにBagをつくる。

仕掛けや絡繰りは、
日常の生活の中でささやかな
驚きや楽しみなど、
一石を投じる。





 


手袋 1770

ギャザー(ドレープ)
だけで成り立つ
Bagを考えていた時、
手について思いついた。
手袋を逆さまにして、
ギャザーに見立てる。
手の温もりが人から人に
伝わると幸いだ。





 


シンビジウム 2076

人の手は不思議で
手を通して物が造られ
又感動が帰ってくる。
今回の様な蓋物のBagは
私はいつも両手のフォルムから造形する。

座禅のときの手の組み方にも通ずる。
皆様も両手でこの形を造って見て欲しい。
暖かい蓋の形が見えてくる筈だ。
同時にギャザー(ドレープ)は
洋蘭のシンビジウムをイメージした。





 


1507

ecoを考えていた時
自然をテーマにと
造形を思いついた。
それは風がバッグに吹きつけた
時、砂の風紋のように
風の指紋がつくような造形だ。
Bagに耳を当てると
風の音が聞こえると嬉しい。

ちなみにecoであるので、
色は木(葉と幹)や海や大地のイメージで造ってみた。





 



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